前週より購入金額358円、購入点数が2点増加した3月23日週
まず、レシート1枚あたりの購入状況(購入金額および購入点数)推移を分析します。
レシート1枚あたりの購入状況推移は、2/17週の「購入金額(847円)、購入点数(4.0点)」でしたが、翌2/24週は、「購入金額(1,019円)、購入点数(4.8個)」となり、購入金額は前週よりも、172円上昇していました。2月24日(月)に政府による新型コロナウイルス基本方針の発表、2月27日(木)の休校要請、SNSで拡散した「トイレットペーパーが買えなくなる」といったデマなど、物資の不足を不安に感じた消費者の生活必需品の購買意欲が高まったことが考えられます。
その後3/2週から3/16週にかけてのレシート1枚あたりの購入状況をみると、購入金額は<893円~932円>となり、上昇傾向で推移し、3/23週に「購入金額(1,290円)、購入点数(6.1個)」となり、前週よりも購入金額358円がアップし(前週932円)、購入点数は2点増加していました(前週4.3点)。
背景には、3/25に新型コロナウイルスの国内感染者が1,000人を超え、緊急事態宣言への必要性が徐々に高まり「食品など、今必要ないと思っている商品でも、今後買えなくなりそうな不安から、購入してしまう(50代女性)」といった、緊急時に備えた生活必需品の備蓄だけではなく、「普段からまめに買い物に出るので買い置きはあまりしてなかったが、スーパーの棚から商品がどんどん無くなるのを見て、乾麺や缶詰やレトルト等をストック用に購入した(50代女性)」や、「どうなるか不安なので、いつもより買いだめしているので、支出が増えています。普段買わない(食品など)を購入してしまう(50代)」といった、普段とは異なる光景を目の当たりにした消費者の「買いだめ」や「買い急ぎ」心理がコメントに表れていました。
食品関連の構成比急上昇。日用品は割高でも仕方なく購入
次に、2/17週~3/23週のカテゴリ別のレシート構成比を分析します。
2/17週のカテゴリ別のレシート構成比は、「生鮮・総菜(32.4%)」、「食品(31.4%)」、「飲料(8.7%)」、「日用品(5.0%)」であったのに対し、2/24週は、各カテゴリの構成比に変化がみられました。
まず「食品(34.6%)」が「生鮮・総菜(32.9%)」を、1.7ポイント上回り、保存がきく・日持ちする食品の購入が増えていたことがわかります。
「学校が休校になったので、昼食やおやつ用に、普段より食材が多く必要になった(40代女性)」や、「子どもが家にいるので、お菓子やジュースの購入が増えた(40代女性)」といった、休校中の子ども用の食材を購入したというコメントが多くみられました。
また、食品関連カテゴリ(「生鮮・総菜」+「食品」)の構成比は、「2/17週(63.8%)」から、「3/23週(72.6%)」となり、8.8ポイント上昇し、レシート全体の枚数に占める構成比が7割を超えていました。
「家での食事が増え、買物する商品数、量は3割ぐらい多くなっている(40代女性)」といった、家庭での食事の機会が増加したことによる、購入量の増加がコメントに表れていました。
「日用品」カテゴリの商品別では「トイレットペーパー」や「ティッシュペーパー」などの紙製品や、「洗濯用洗剤」などの構成比が上昇し、「2/17週(5.0%)」から、「2/24週(6.7%)」で推移し、前週比1.7ポイント上回りましたが、3/2週以降は、「5.3%~5.7%」で推移しています。
紙製品類の需要の高まりがメディアでも多く取り上げられていましたが、「トイレットペーパーやティッシュの在庫がなくなりつつあり、洗剤も心配でストックがあったが買っておいた(60代女性)」や、「トイレットペーパーを買いに行った際に価格を確認したら安かったので洗濯洗剤をストック用に購入(50代男性)」などといった、「ついで買い」が発生していたことがわかりました。
紙製品類に関しては、一時店頭から品薄状態となった後、メーカー側の生産体制や物流の見直しによって、回復に向かっていましたが、「コロナの影響で、トイレットペーパーやティッシュ、ウェットティッシュの在庫が無い異常事態なので、何でもいいので購入。価格が異常に高い(50代女性)」や、「トイレットペーパーは、いつも特売を購入していたが、お得なものが手に入らずいつもより割高なものを購入(40代女性)」など、店頭価格やブランドが変化しており、いつも購入しているものではないブランドでも必要性を感じて購入していたことや、「コロナウィルス騒動で生理用品までもが数量限定で、ないと困る為ストック用に購入(30代女性)」といった、店頭状況に関するコメントが多くみられました。
一方で、「(外食などの)飲食」レシートの構成比は、外出自粛により減少傾向で、「2/17週(10.6%)」であったのが、「3/23週(4.3%)」まで落ち込んでおり、テイクアウトや様々な工夫により、お客様をもてなそうと必死の外食業界ですが、苦しい状況が表れていました。